【よが読】共通関心にもとづく非公式のつながりが、組織の免疫力を強化する_前編

ヨガやマインドフルネスといった取り組みは、業務に直結するテクニカルスキルを重んじる企業文化のなかでは、これまで学びのアイテムになりにくいものでした。

しかし今なぜそれが企業研修としても注目されているのか。

そこには、従業員一人ひとりのWell-being(ウェルビーイング=身体的、精神的、社会的に健全な状態にあること)の重要性が認知されてきたことに加え、個々の関心をつなぐことで見えてくる共通関心が、組織自体の健全性に深くかかわってくることも見逃せません。

仕事の知識や技能を覚えて生産性を上げる…という、企業の旧来的な枠を超えたコロナ禍以降の学びについて、組織開発の観点から考えてみたいと思います。

組織図に示されていない見えない繋がりの質

チームの一体感が成果につながる

エンゲージメント(従業員と組織の一体感)が一人一人の働きがいを高め、生産性や業績にもポジティブな影響を与えているということは、これまで数々の調査で指摘されています。

では何がエンゲージメントを左右する要因かについて、1万9000人を超えるビジネスパーソンを対象に実施された世界的な調査があります。 

ここでわかったのは、組織図に現れない職場の「チーム」の存在と質が、エンゲージメントを大きく左右していることでした。ここでいうチームとは、組織図などには示されていない非公式のつながりです。

有機的な人々の動き=チームについて

一般に企業の組織体制は、人を効率的に動かすため管理上の都合で形成されます。

そして機械的に組み立てられた「部」や「課」において、まるで構成される部品やネジのように人が位置づけられています。しかし実際の仕事は、そんなに杓子定規な職制に沿って機械的に進むものではありません。

特に現在のような変動の激しい先行き不透明な環境では、職制や階層、時に部門を超えた相互補完が行われます。

組織図で決まっている職務を臨機応変に支援しあい、落ち込んでいたら声をかけ、社内情報に明るい人が適切な人を紹介する。こうした連携は、組織図に規定されない有機的な人々の動きです。それをここではチームと呼びます。

これは世界的調査会社ギャラップで長年トップリーダーやグローバル企業の調査にあたったマーカス・バッキンガム氏(ADPリサーチ・インスティテュート)と、コンピュータネットワーク機器のトップ企業、シスコシステムズのアシュリー・グッドール氏(グローバルのリーダーシップ・アンド・チームインテリジェンス担当シニアバイスプレジデント)による共同調査です。

私が知る限り、質量ともに世界でもっともアップデートされたエンゲージメント調査だと思います。

※参考:DHBR November 2019 『チームの力が従業員エンゲージメントを高める』

共通関心にもとづく非公式のつながりが、組織の免疫力を強化する_後編」へ続く

コラム著者:吉田 典生 よしだてんせい

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MBCC(マインドフルネス・ベースド・コーチ・キャンプ)ファウンダー
MiLI(一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート)理事
●MCC(国際コーチ連盟マスター認定コーチ)


関西大学社会学部卒業後、ビジネス誌や経営専門誌の編集記者を経て2000年に(有)ドリームコーチ・ドットコム設立。以降、経営層などビジネスリーダーのコーチ、組織コミュニケーションの再構築・改善を通して変容を支援するコンサルティングに従事。マインド・ビジョン・ロール・アクションという4つの最適化をデザインし、コーチングを十分に機能させる構造的なアプローチを展開。著書に10万部超のベストセラー『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』、出版当時Yahoo!新語時点に書名が掲載された『部下力~上司を動かす技術~』他多数。プロファイルズ社戦略ビジネスパートナー、BBT大学院オープンカレッジ講師、6seconds認定EQプラクティショナー、SEI EQアセッサー。

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